高齢者にとっては、喉の奥の痰のからまりは時に命とりです。肺に関する何らかの胸部疾患を持っている方などは、就寝中は特に気を付けたいのですが、寝ているのですからそうもいきません。ただ、寝方ひとつで、不慮の事故を回避することはもちろん、不眠につながるような寝苦しさからも解放されます。
皆さんは普段、仰向けに寝ますか?うつ伏せに寝ますか?
痰のからまりを防ぐには、うつ伏せ寝をすることです。健康、長寿のためにうつ伏せ寝をしている方も多いようですが、その根拠となるのが、脊椎動物はうつ伏せで寝るのが本来の寝方だということです。仰向けに寝ている犬や猫もたまにはいますが、基本はうつ伏せ寝です。なぜならうつ伏せ寝の方が、呼吸が楽にできるからです。
高齢者の介護の現場でも、うつ伏せ寝は「腹臥位(ふくがい)療法」として取り入れられています。腹臥位療法とは、うつ伏せになって、手のひらを下にすることにより、脳の視床下部というところに刺激を伝え、寝たきりにならないようにする療法です。この「腹臥位療法」の効果はてき面で認知症などの症状の改善が見られ、ひとり暮らしができるようにまでなった方もいるのです。
仰向けに寝るというのは、言ってみれば動物としての人間が、無理をしているということになりますね。ただし乳幼児の場合は、口がふさがれたりすることで息ができなくなり乳幼児突然死症候群(SIDS)として、死に至る可能性もあるので要注意です。
就寝中に咳き込んだり、痰がからまったりすることのある方は、ぜひともうつ伏せ寝を試してみて下さい。